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主催:NPO法人日本教育再興連盟 教員事務局東京本部

2008年1月12日(土)、東京都江戸川区総合文化センターにおいて、日本教育再興連盟教員事務局東京本部の主催により、『第一回教育ウィンターセミナー2008~野口先生&陰山先生から学ぶ「真の学力」をつける授業~』と題されたセミナーが開催されました。今回のセミナーは、時勢にとらわれない「『真の学力』をつける授業とは」というテーマにもとづいて行われました。あいにくの雨天にも関わらず、たくさんの教員が集まったセミナー当日の模様をお伝えします。




目次

【1】野口芳宏先生 講座「真の国語学力とは」

【2】陰山英男先生 講座「『陰山メソッドを語る』=日本と世界の教育=」

【3】長沼武志先生 ミニ講座「電子ボード『ミミオ』を利用した授業実践報告」

【4】鈴木夏木先生 ミニ講座「学習カードカルタを利用した授業実践報告」

【5】野口芳宏先生 模擬授業「宮沢賢治の『雨ニモマケズ』」

【6】陰山英男先生 模擬授業「短期間に学力を伸ばす!『陰山メソッド』」

【7】パネルディスカッション「真の学力をつける授業とは」

【8】主催者・講師の先生方の声




野口芳宏先生 講座「真の国語学力とは」

日本教育技術学会理事・名誉会長であり、日本教育再興連盟発起人の一人でもある野口芳宏先生による講座です。ここでは、「真の国語学力」とはどのようなものであるかについて、野口先生の考えが披露されました。

野口先生は、子どもが国語学力を身につけるには、3つのステップを経ることが必要とし、その3つのステップとは「言語人格」「言語知識」「言語技術」であると定義されていました。「自らの言葉に気持ちを込める『言語人格』に支えられた、『言語知識』つまり言葉に関する知識が、それらを実際に使う際の『言語技術』を確固たるものにする」という野口先生の理論が紹介されました。



陰山英男先生 講座「『陰山メソッドを語る』=日本と世界の教育=」

立命館大学教授・立命館小学校副校長であり、日本教育再興連盟代表理事を務める陰山英男先生による講座です。ここでは、日本の教育が抱える課題について、統計資料や各国の教育行政の状況を参照しながら、陰山先生独自の意見が述べられました。

取り上げられた内容は、PISA調査、土曜学校、日本の大学院の課題、フィンランドでの教育、子どもの生活習慣と学力との関係性など多岐に渡り、これらをもとに日本の教育の現状が浮き彫りにされました。陰山先生は、「教育問題は世界の問題」と訴えかけることによって、教育問題に対する一層の注意を来場者に求めていました。



長沼武志先生 ミニ講座「電子ボード『ミミオ』を利用した授業実践報告」

「ミミオ」と名付けられた電子黒板を利用した授業実践が、横浜国立大学教育人間科学部附属横浜小学校の長沼武志先生により報告されました。

ミミオには電子黒板ならではの機能が多数用意されており、長沼先生は「スクリーンシェイブ」と呼ばれる機能を使って、子どもたちに言葉を覚えさせる際の手法などを披露されていました。長沼先生は、「覚えさせたい言葉を下の文字から順に隠していって、最後には上の一字だけで記憶させる。それが記憶を呼び覚ますつりばりになる」とミミオを利用した授業を、臨場感たっぷりに紹介されていました。



鈴木夏木先生 ミニ講座「学習カードカルタを利用した授業実践報告」

学習カードカルタを利用した授業実践が、神奈川県三浦市立初声小学校の鈴木夏来先生により報告されました。

学習カードカルタとは、カード遊びに学習の要素を取り入れたもので、様々な種類があります。今回は、クラシック音楽の学習カードカルタを利用した授業実践が報告されました。クラシック音楽の学習カードカルタは、和歌やことわざの代わりにクラシック音楽が流れ、その曲の作曲者の名前や出身国などが記載されたカードを子どもたちが取り合います。講座では、カルタを利用した学習によって、子どもたちがクラシック音楽をどんどん覚えていく様子が紹介されました。



野口芳宏先生 模擬授業「宮沢賢治の『雨ニモマケズ』」

教員生活50周年を迎えられた野口芳宏先生による模擬授業です。ここでは、国語の模擬授業が行われ、題材として宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」が取り上げられました。そして、野口先生の指導手法とともに、「雨ニモマケズ」の詩に対する野口先生の考えが紹介されました。

実際の授業さながら、来場者が指名され、問題の答えを発表させられるなど、会場を巻き込んでの模擬授業となりました。また、指導手法が紹介される一方で、野口先生は、「授業はなりゆきにまかせるのではなく、組織するものだ」とし、国語の問題には正解を設定しておく必要があるという野口先生の考え方も披露されました。



陰山英男先生 模擬授業「短期間に学力を伸ばす!『陰山メソッド』」

「早寝、早起き、朝ごはん」の生活指導や、徹底した反復学習による授業手法が有名な陰山英男先生による模擬授業です。ここでは、規則的な生活習慣を身につけた子どもと、そうでない子どもとの学力の比較や、陰山先生の広島県尾道市立土堂小学校での授業実践の紹介などが行われました。

今回のセミナーでは、実際に算数の授業で使う、割り算や分数の問題用紙が来場者に配布され、陰山先生の授業手法が披露されました。また、陰山先生は、小学校で反復学習を徹底する理由を「基礎的なことができたら、そのあとは自由自在」とし、陰山メソッドの根底にある考えを紹介されました。



パネルディスカッション「真の学力をつける授業とは」

司 会: 塚田直樹先生
登壇者: 野口芳宏先生・陰山英男先生・三橋勉先生・井関和代先生

今回のセミナーでは最後に、「真の学力をつける授業とは」というテーマについて、4人の先生方が熱い議論を交わしました。当日行われたアンケートで来場者から寄せられた質問にもとづいて、

(1)真の授業をつける授業とは (2)教師主体性 (3)生徒主体性 (4)親の教育 (5)英語教育

という5つの項目が設定され、それぞれについて先生方が自身の考えを述べられました。パネルディスカッションでは、4人の先生方が話し合って一つの答えを出すのではなく、それぞれが別個に回答するという形式であったにも関わらず、ほとんどの項目に対する、先生方の回答は、それぞれ非常に似通っていました。「真の学力をつける授業」を目指す教師は、その考え方にも共通点があることが、ここでは明らかになりました。



主催者・講師の先生方の声

三橋勉先生(日本教育再興連盟教員事務局東京本部長)のお話

―今回のセミナーの狙いについてお聞かせ下さい。

「今回のセミナーは、『真の学力をつける授業』、これがメインテーマです。今、教育は、いろいろなことが取り沙汰されていて、学力観についての議論や、子どもをめぐる問題など、様々に揺れています。文科省から出される答申、それから教育再生会議、中央教育審議会からの答申、またはPISA型の学力。そういった様々なことが言われていますが、そうではなく、教育の不易流行を目指して、真の学力をつける授業とはどうあるべきなのか。そのことについて、授業の名人である野口先生と陰山先生に語って頂きました」


野口芳宏先生のお話

―今回のセミナーのテーマは、「『真の学力』をつける授業とは」でしたが、野口先生の授業手法が世間に広まることで、日本の教育がどのように変わればよいとお考えですか。

「日本の子どもの学力が上がることですね。それが第一です。そしてもう一つは、子どもの学力が悪用されてはならないから、子どもの言語人格が向上することも大切です。学力が低くていけないということはありません。しかし、学力が上がってもそれを悪用してはどうにもなりません。世の中のために役立つ学力を向上させる、それが私の理想です。そして、そういった学力を身につけた子どもが育つこと。それが私の大事な夢です。学力向上、人間向上というその二つともが今では危うくなりつつあるから、私たちも黙ってはいられなくなるのです」


陰山英男先生のお話

―今回のセミナーのテーマは、「『真の学力』をつける授業とは」でしたが、陰山先生の授業手法が世間に広まることで、日本の教育がどのように変わればよいとお考えですか。

「教育の成果がなかなか出ないと、教師が言ってはいけません。それは嘘だからです。というのも、半年、一年間という短い期間で、教育がこれほどまでに変わるということを、私は今日のセミナーで証明してみせたわけだから。つまり私たちは、教育の成果、具体的に言うと学力向上を、短期間で達成しなくてはならない。そのことをきちんとメッセージとして発信するというのが、今回のセミナーの目的であったわけです。そして、一、二年で日本の教育の信頼を回復すること。五年、十年かけるというようなことではだめです。短期間に教育の成果を出すということが重要です」


開催団体

NPO法人日本教育再興連盟 教員事務局東京本部