2007年8月5日(日)、東京都港区立港南中学校にて、「教育夏まつり2007」が開催されました。 真夏の暑い中、教員、保護者、親子連れ、学生など、約350人もの方々にお集まりいただきました。

日本全国から集まった教師たちが、選りすぐりの教育実践を、単なる報告ではなく実際の授業のかたちで発表する。 子どもたちや保護者が楽しみながら授業を受ける姿は、まさにお祭りそのものでした。

この夏まつりの企画運営も、企業の方々、教員、大学生と、様々な担い手によって行われました。 親子連れの姿も昨年に増して多く、教育の輪の広がりを感じさせる一日となりました。


ここからは「教育夏まつり2007」当日の模様をお伝えします。

全体シンポジウム「教育のカラをやぶる!」  場所:2階体育館

「教育のカラとは?子どもが夢中になる授業とは?」をテーマに開催された全体シンポジウムの様子をお知らせします。

今メディアでは教育に関する暗い報道が多いですが、文部科学省の調査で、実は子どもたちの7割は学校が好きだという結果が出ています。 今回のシンポジウムでは、コーディネーターの陰山先生を中心にして、学校や地域など、色々な所で子どもたちの成長をリードしている方々に、 従来の教育のカラを破って、どのように子どもが夢中になる授業を展開していくかお話を伺う形で進められていきました。


第一部:自己紹介

まず各先生方から自己紹介として、三橋先生は学習カードカルタを使った授業、高嶋先生は学習の基本となる鉛筆の持ち方を通して、小谷先生は港南中学校の校長として、 そして長崎先生は母親、スイマーとしての立場から、子ども達との関わり方と教育に対する抱負に関してお話を伺いました。子どもの立場に立って、 どうすれば魅力的な楽しい授業ができるのか、そして何が必要とされているのか、様々な側面からお話がありました。


第二部:教育のカラを破るとは?

次にシンポジウムのテーマともなっている教育のカラを破るということについて、 パネリストの方それぞれの立場からお話し頂きました。


全体シンポジウム参加者の声

● 色々な角度から教育についての意見が述べられていたところが特に良かったです。良い教師との出会いの大切さを実感しました。 そして、子ども達がどんな気持ちで、どんなイメージを持って勉強しているのかを知ることが教員の宿命だと感じました。(教員)

● 教育のカラを破って、新しく優れたものをどんどん取り入れていってほしいと思います。 教育は、学校だけのものではなくて、子ども達を育てていく場として、私達が私達の課題として取り組むことが必要だと痛感しました。(保護者)


三橋 勉先生

第二部「教育のカラを破るとは?」でのお話:
私自身は子どもの頃、勉強が不得意で、あまり興味がありませんでしたが、教職に就いて現状を見て、 私と同じく勉強嫌いの子どもに、私の特技でもあり、生徒にも人気の"漫画"を生かした教材で、勉強の楽しさを知って貰いたいと思うようになりました。 そこが私の"教育のカラを破った"点だと思います。この方法に賛否や温度差はありますが、いろいろな教育法があること、 様々な先生がいることも必要だと思っています。

プロフィール:
日本教育再興連盟教員事務局東京本部長。
1966年生まれ。千葉大学大学院教育学研究科修了。
公立小学校に20年間勤務。
学習カードカルタ研究会代表。
「都道府県」「歴史人物」「百人一首」カードカルタなど著書多数。


高嶋 喩先生

第二部「教育のカラを破るとは?」でのお話:
鉛筆は学習の基本。箸は食生活の中心。きちんとした持ち方は一生の財産と言えるものです。しかし正しい持ち方はあまり広まらず、 学習においての重要性にも理解が少ない状態です。これからこのカラを破っていくことが必要だと思います。








全体シンポジウムによせて:
鉛筆や箸の持ち方を変えることで、身体に好影響を及ぼすことが実証されています。それにもかかわらず、即効性がないために、 あまり認められていません。鉛筆や箸の持ち方の価値が認められるようになることが従来の教育界のカラを破ることだと思います。

プロフィール:
児童書き方研究所所長。
1929年岡山県生まれ。「学力研」常任委員。30年以上にわたり、2万人以上の 幼児・児童に正しい鉛筆・箸の持ち方の普及指導。著書に、『高嶋式ひらがなれんしゅうちょう』など。

長崎 宏子先生

第二部「教育のカラを破るとは?」でのお話:
小さな子どもへの水泳指導というと、英才教育を思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、 ベビーアクアティクスは泳力の指導ではなく、親子で水に親しみ、愛情を深めるものです。結果を求めないから結果がついてくる。 結果の出る瞬間のために過程がある。今までにはない、その過程を楽しむことの教育を大事にしていきたいと思います。




全体シンポジウムによせて:
このような機会がなければお会いできなかった先生にお会いできたこと、そして私が普段から、 こんな風にすれば授業が楽しくなるのではないかと思っていることを、皆さんの前でお話しできたことがとても良い経験だったと思っています。 子どもは日々色々なことを学んで、どんどん成長していきます。その中で、一度持ってしまった苦手意識はなかなかなくならず、 諦めてしまうことも多いと思いますが、そんな苦手を克服できるような"楽しさ"を知れる授業が沢山あることを知って、とても嬉しく思います。 もっと沢山の子ども達、保護者の方、そして先生方にもこうした取り組みを知って貰いたいと思います。 スイマーとして母として、子ども達のためということをいつも念頭に、子ども達が何かに夢中になれるように、 教育が"プレゼント"になるようにこれからも努力していきたいです。

プロフィール:
オリンピックスイマー。
1968年秋田市生まれ。小学生初の競泳五輪日本代表。(1980年モスクワ)。 以降2度の五輪出場。0歳からの親子水泳「ベビーアクアティクス」を主宰。水泳 関係の著書も多数。

小谷 周一先生

第二部「教育のカラを破るとは?」でのお話:
教育の現場では、部活や授業などでも自分の手の内を見せないという閉鎖的な側面が未だにあります。 そこでカラを破ること-例えば、バスケ部の顧問が他校の練習を見学に行ったり、公立学校が塾講師に新任教師の指導を依頼したりするなど、 優れたものを学び、取り入れていくことが必要です。目の前の子どもだけではなく、義務教育の9年間の中で、どのように子どもたちを育てていくのか、 どのような教師に子どもが出会えるのかが重要です。


全体シンポジウムによせて:
普段学校の中ではなかなかお話を伺えないような専門の方にお話を聞けたことが、とても有意義で良い経験でした。 現在、港南中学でも様々な取り組みをしておりますが、今後も海洋大学との連携を深めて、 子ども達が大学生と一緒に活動する取り組みをしていきたいと思っています。また、区内の小学校とは以前より教員の交流も盛んで、子ども達をより理解し、 中一ギャップなどを避け、スムーズに学校生活に溶け込めるような取り組みもしております。 新しい住民が急激に増加している地域にあることで、そういった地域の方々との繋がりも大切にし、 子ども達の姿が地域に見える活動を進めています。今後も優れたもの学んで取り入れる姿勢を大切にしていきたいと思っています。

プロフィール:
港区立港南中学校校長。
1956年生まれ。東京都に採用され、江戸川区、江東区、葛飾区の教諭・教頭・副校長を経て、2006年から現職。 地域の教育力を民間の力を活用した質の高い学校づくりを目指す。

陰山 英夫先生

インタビュー:
● 教育のカラを破るとはどういうことだと思いますか?

批判を恐れない。常識を疑うこと。









● この会が今後どの様な企画になっていくことを望まれますか?

この会の目的は、日本の教育を変えようということではなく、現場同士の横の情報交流、また行政と現場との縦の情報交流などを促進する場として成長し、 教育を変える「環境」づくりをおこなっていくことだと考えています。

プロフィール:
立命館小学校副校長、立命館大学教授、教育再生会議委員、中教審教育課程部会委員、日本教育再興連盟代表理事。
兵庫県山口小時代、尾道市立士堂小校長時代の授業・経営実践を通じ、日本の教育の流れを変えた。理科実験の授業にも優れ、現在はデジタル系を駆使した教育改革にも燃える。

文責:杉政



以下の一覧から、当日行われた数々のイベントの模様をご覧になれます。

当日プログラムリスト



閉会式  場所:2階体育館

陰山 英男先生・小谷 修一港南中学校校長・安威 誠実行委員長のお話があり、「多くのボランティアが参加してくれたことで教育夏まつり成功を収めたこと」「教師・政治家・企業それぞれの立場から参加できたこと」「教育夏まつりには楽しい授業のヒントがたくさんあったこと」が述べられました。

文責:中川