2006年8月6日(日)、東京都港区立御成門中学校にて、「教育夏まつり2006」が開催されました。 真夏の暑い中、教員、保護者、親子連れ、学生など、約500人もの方々にお集まりいただきました。

全国の学校から、実践で成果を上げられている先生が集結。授業実践の成果を、できるだけ多くの人に伝えたいという思いのもと、全国各地で高い評価を得た「優れた授業」の数々が行われました。同時に、教育・食育といった観点から、企業も一丸となって参加しました。

真夏の暑さにまさるともおとらない、会場の熱気や参加者の熱意。立場を越え、教育に関わる老若男女が力を合わせたこのイベントは、まさしく「教育夏まつり」と呼ぶにふさわしいものとなりました。

こちらではメインホールで行われた数々のイベントの模様をお伝えします。

実行委員長 安威誠氏インタビュー

正直なところ、当初「教育」というテーマのお祭りが現実になるとは思いませんでした。そもそもお祭りというのは楽しいもので、「教育」という硬いテーマで本当にやれるのかなという不安はありました。ところが、実際には大盛況で、大勢の方が協力してくれ、大勢の方が参加してくださいました。本当に嬉しく思っております。

実行委員会の立ち上げは、東京大学の五月祭での連盟のイベントが終わってからでした。私が実行委員長に指名されてからも40日という短期間での準備でしたが、実行委員の皆さんの情熱と実力が一丸となって発揮された結果だと思います。今回、実際に会っての会議は数回で、その他はすべて電話、メール上の会議あるいは情報交換、情報共有によってここまで細かい打ち合わせ・チェックができました。場所がどこであれ、会社がどこであれ、立場がどれだけ違っていても、ITというものを使ってここまでできたということが、私にとっての収穫と自信になりました。

今回は講師の先生にも各協賛企業にも学生の方々にも熱意をもってボランティアで参加していただきました。今後はNPOが認可され、団体として財源の確保をしつつ、永続的な活動が続けられる経営基盤をしっかり作るということが重要課題だと思っております。 関係者の皆さんには、改めて厚く御礼申し上げます。

当日プログラムリスト

開会行事

午前10時、500人もの参加者に埋め尽くされたメイン会場に、 河村建夫氏、鈴木寛氏、陰山英男氏、吉山勇樹事務局長、安威誠実行委員長が登場。 河村氏、陰山氏、鈴木氏による開会の挨拶、 続いて、吉山氏による、日本教育再興連盟事務局の報告が行われました。 出演者の熱意と参加者の盛大な拍手の中、「まつり」が幕を開けました。

河村建夫氏

元文部科学大臣/衆議院議員、日本教育再興連盟・会長理事。
山口県萩市出身。田中龍夫元文相に私淑し、衆院初当選以来文教畑に打ち込む。教育改革には一家言を持つ。党内有数の文教通。山口県議会議員に四期連続当選し、草の根民主主義の啓発に努めたところから民情に通じる。明るく誠実な人柄でいささかも偉ぶることがなく、各界各層に幅広い人脈を持つ。議員立法に情熱を燃やし、政策の立案、研究で寝食を忘れることもしばしば。各官庁の官僚からも一目置かれる存在。

金子郁容氏、鈴木寛氏 対談「保護者と地域を巻き込んだ教育再興」

テーマは保護者と地域を巻き込んだ教育再興。 コミュニティスクール構想を掲げるお二人の熱い議論が行われました。 コミュニティスクールとは、教育の閉塞状況を打破するための一つの方策として、地域・集まりといったコミュニティの力を活用するというもの。 身近なところで一人一人が教育に参加・参画することによってが大きな力が生まれるというお話に、 参加者が大きくうなずく場面も多々ありました。

金子郁容氏

慶應義塾大学大学院教授、日本教育再興連盟・発起人。
慶応義塾大学工学部卒業。スタンフォード大学Ph.D.。ウイスコシン大学計算機学科準教授、一橋大学教授などを経て現職。情報論、ネットワーク論、意思決定論などを通して、ボランタリーな組織原理を探る。VCOMプロジェクトでは、地域コミュニティの情報化、コミュニティ・スクールの普及、ネットワークコミニティの実験などを支援している。著書に「コミュニティ・ソリューション」、「ボランティア --- もうひとつの情報社会」、「コミュニティ・スクール構想」(共著)、「ボランタリー経済の誕生」(共著)など多数。

?金子郁容氏に当イベントについてインタビューしました。

教育には多くの人々が関心を持っていますが、どのように関わっていけばいいのか分からないという人もいると思います。そういった方々に教育に関わっていただくきっかけが作れればと思ってこのNPOに参加いたしました。今日のイベントでは、反応が良いので勇気づけられています。保護者の皆様は意欲が高く、いろいろなことを求めているのだということを強く感じました。

今後、ますます誰でも気楽に参加でき、ただ学校に文句を言うのではなくて学校のいいところも褒めながら皆でやっていこうという動きになればいいと思っております。

鈴木寛氏

参議院議員。
通産省官僚、慶應義塾大学助教授を経て、参議院議員通常選挙に東京選挙区から立候補、当選。参議院文教科学委員会理事、憲法調査会幹事、法務委員会委員、共生社会調査会会員、行政監視委員会委員などを歴任。党内では、コミュニティ・スクール・ワーキングチーム座長、大学改革ワーキングチーム事務局長ほか教育部門のスペシャリスト。同じく討論誌D Journal並びにインターネット放送局D vision編集長も務める。

陰山英男氏 百ます計算と音読、早寝早起き朝ご飯

陰山先生の理論を、授業を交えながら具体的に一つ一つ解き明かす楽しい講演。 早寝早起き朝ごはんの大切さ、音読の大切さなどを科学的な見地からわかりやすく説明しました。 講演の間に行われた音読と百ます計算の授業には、参加者が大人も子どもも真剣になって取り組まれていました。

陰山英男氏

立命館大学付属小学校副校長兼同大学教授、中央教育審議会・臨時委員、日本教育再興連盟・代表理事。
兵庫県朝来町立山口小学校在職当時、同僚、父母などとともに基礎学力向上のためのメソッドの開発を進め、岸本裕史が提唱した百ます計算を中心軸に、科学実験、体育指導、インターネット学習なども加味。生活チェックシートで児童の基礎的な生活統計からも教育を再考した。2003年4月から尾道市立士堂小学校校長に就任。メソッドの完成と学校経営に邁進しながら、日本の教育の流れを変えた。2006年4月から現職。

シンポジウム「みんなの力で子どもを伸ばす」

教育夏まつりの集大成ともいえるシンポジウム。 シンポジウムというととかく堅苦しい雰囲気を想像しますが、 レモンさんの「教育の現場にいる子供達のことを思って、ざっくばらんに話し合おう」という発言により、シンポジウムの空気は和やかなものとなり、 非常に白熱した議論となりました。 会場の主婦や教育関係者からも質問が溢れました。 皆の力で子どもを伸ばそう、教育を再興していこうという思いを共有し、 教育夏まつりは閉会となりました。

藤原和博氏

杉並区和田中学校長、日本教育再興連盟・発起人。
1955年生まれ。78年、東京大学経済学部卒業後、リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。93-94年、ロンドン大学ビジネス・スクール客員研究員。96年から2001年まで同社と「フェロー」契約。リクルート社フェロー第1号。2003年4月より民間から初登用の都内公立中学校長に。独自の総合学習〔よのなか科〕を立ち上げる。和田中は、〔よのなか科〕で「ベネッセ賞」、おいしい給食と食育で東京都の「健康づくり功労賞」などを受賞。

和田秀樹氏

精神科医、日本教育再興連盟・発起人。
1960年生まれ。東京大学医学部卒業。東京大学付属病院精神神経科助手、アメリカ・カールメニンガー精神医学校国際フェローを経て、日本初の心理学ビジネスのシンクタンク、ヒデキ・ワダ・インスティテュートを設立し、代表に就任。国際医療福祉大学教授。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法学を専門とする。著書は100冊以上。 精力的に活動中。「学力向上!親の会」主宰(NPO法人申請中)。

?和田秀樹氏に当イベントについてインタビューしました。

日本の今の学力を考えると、きちんとした教育ネットワークを作らなければなりません。様々な人が主義主張を唱えているけれど、言いっぱなしではなくて、全部具体的かつ本格的に動いていかなければならないと思います。これまで教育に関して現場を知らない人々が教育問題について、どうだこうだと言ってやってきましたが、この集まりでやっと現場からの声が届くようになりました。というのも、今までの教育現場は「批判のし合い」が多かったわけです。しかし、「いいものはいい」と成功事例を多数集め、それを横展開していく日本教育再興連盟では、本質的な議論ができる思いますし、意味があると思い参加しました。今日のシンポジウムを通して、自分が思っていることはみなさんと共有できたと思います。 今後、ネットワークを広げるために何をやるべきか考えていくべきです。地方でやることが大切なんです。教育の議論は東京の視点になりすぎているけれど、日本の問題は子ども全体の基礎学力が低下していることです。地方の人々と手を組んでいかなければならないと思います。

山本シュウ氏

ラジオDJ。
1964年、大阪府生まれ。ラジオDJ。現在はFM大阪、FM FUJIで番組を持つ。また今春までの5年間、娘が通う小学校のPTA会長を務める。「教育にビタミンを!」というキャッチフレーズで、レモンのかぶり物をし、生徒から親、先生まで「レモンさん」と親しまれた。その間の奮闘記は『レモンさんのPTA爆談』として出版。AIDS啓発のための「レッドリボンキャンペーン」での中心人物でもある。

?山本シュウ氏に当イベントについてインタビューしました。

元々僕自身、ラジオDJをやってきてリスナーの子どもや中高生の悩み、本音を常に聞いてるんですね。その上に、PTA会長としても現場を見て、その中で問題やなーと思ったことが沢山出てきたんです。だから、一人の大人として、「どんどんやれることはやっていかなアカン」と、基本的に思っていたんです。そこで、「子どもたちのためになることで、僕にできることがあれば、何でもします!」と言う想いで、今日は参加しました。 教育においては、独りよがりじゃない、いろんな人に介在してもらって、いいものはいい!と成功事例をまずはたくさん集める。で、それをどのように伝え、広めていくのか、っていうことを皆で考え、明確な目標を見据えて、そこにたどり着くために今のやり方じゃどうなんだっていうことをぶっちゃけトークした方がいいんじゃないかなと思いますね。それが子どもたちのために最終的によい結果になるんだということをしっかり考えた上でね。

日本教育再興連盟の面白いところは、学生会員として、大学生が中心になって運営をしているでしょ。今会場にいらっしゃるのは教育問題に対して一生懸命な大人たちだから、そう言う人たちの考えや行動を学生のときからそばで見て感じていけるというのは、次の世代への大切なパイプ作りになる気がするんですよね。また、そんな使命が日本教育再興連盟にはあるのかなと思います。